循環を考えた新製品の開発

2023.5.29
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SDG目標

アルミニウムの鋳造本来の質感と美しさを引きだす

2023年度から、当社では制作過程だけでなく製品として使われた後のことにも配慮した開発を行っています。
その中で、数を多く作るより一つのものを大切に永く使っていただくことが一番環境にとっても良い、という当社の考えを表している新製品について紹介いたします。

G1280は最小限の加工手順によって、アルミニウムの鋳造本来の質感と美しさを引きだした製品です。
単一素材で作られているため材料の再利用も容易になり、表面処理をしていないので表面加工の剥がれもなく自然な風合いで味わいが増していきます。

当社では多くの製品が人や環境に配慮した製品となっていますが、欲しいと思っていただけるような魅力的なデザインの製品でなければなかなか手に取っていただける機会はありません。
この製品がどのような意図で開発されたのか、デザイナーの佐藤さんに話を伺いました。

Q1.G1280の開発のきっかけは何でしたか?
A:鋳物工場を訪問した際に、 砂型から取り出された鋳物から切り離された湯口や湯道が大きい籠に集積されているのを見たのがきっかけでした。
湯口や湯道は製品となる部位に満遍なく金属を行き渡らせるために必要な要素であり、それ自体に美しさは無くてもいいはずなのに、私はそれを見たときに美しいと感じました。
巣(ピンホール)だらけで何の作為もない佇まいにハッとさせられたのだと思います。
普通であれば巣が無く形の崩れていないものが良品とされる一方で、鋳物にはこういう美しさもあるんだということを沢山の人に知ってもらいたくて製品開発に取り掛かりました。

Q2.デザインするにあたって、普段どのようなことを意識していますか?
A:感覚的な話になってしまうのですが、ものづくりの深いところまで潜り込んで、美しさを探すことを意識しています。
スタイリングでなんとなくカッコいい形を出すことも出来るのですが、それだけだと深みのある存在感を持ったモノにはなりにくいと思っています。
巣(ピンホール)だらけで何の作為もない佇まいにハッとさせられたのだと思います。
ものづくりの現場で色んなものを見聞きしてその中から自分が何を美しいと感じたか、深い海にダイブして宝物を探し出すような感覚でデザインに取り組んでいます。

Q3.ものづくりの企業として開発部門では”循環”をテーマに取り組んでいますが、今後どのようなことに挑戦していきたいですか?
A:何世代にも渡り使われ続ける製品を創りたいです。ものを引き継ぐというのも循環の在り方の一つだと思いますし、購入していただいた後に情緒価値や意味的価値が高まっていく製品を魅力的だと感じて頂けるお客様も多いのではないでしょうか。
どういう「カタチ」にするかだけではなく、どういう「存在」であるべきかという広い視点で製品開発に取り組んでいかなくてはいけないと思っています。

これからも当社は常に広い視野を持って、ものづくりに真摯に取り組んでまいります。
その他の新製品についても、カタログやHP等で是非ご覧ください。